一話 マリッジ・ブルー

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それからだった。 二人でいるだけで楽しかったのに、 手を繋いでいても鬱陶(うっとう)しく感じる時がある。 じっと見つめられると、なぜか目を先に逸(そ)らしてしまう。 長く話していると辛くなって、 自分から口を閉ざすことが多くなった。 互いに裸で寄り添って起きる朝。 それにはすっかり慣れている。 恥ずかしさがまったくない。 このまま全裸で歯を磨いて、 博之の視線を感じたとしても無視できる。 セックスに飽きた。 いや、それは違う。何が不満なのか自分でもわからない。
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