一話 マリッジ・ブルー

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薄暗い部屋の中に、 カーテンの隙間から陽光が射すように入り込んでいる。 まるでナイフだ。 それが眩しかった。 小さなイビキをしながら、博之が寝返りを打った。 そのとき、彼の手が洋子の裸の腰に触れた。 ゾッとした。 許せない。 嫌悪感が広がった。 また、暗く、重くなる。 ここにいるのが辛い。 二人が皺(しわ)にしたシーツが背中に纏(まと)わりつく。 それさえも嫌だった。
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