Scene2

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Scene 2 早朝、耳障りなアラーム音が鳴り響く。 築三、四十年は経とうかという団地。間取りは、古くさい2DKだ。 家賃は破格の官舎ではあったが、いまどき、この間取りと築年数の古さ。風呂場の設備はバランス釜といったありさまでは、入居希望者も少ない。 世帯用に作られたものとはいえ、最近では、一定年齢以上の単身者の入居も認められていた。 時刻は六時四十五分。 目覚まし時計のアラーム音は、まだ 鳴り続けている。 室内は、片付いているとは言い難いありさまだったが、さしたる荷物もないせいか、なんとか見苦しくないくらいの状態が保たれていた。 ダイニングテーブルの上には、古いノートパソコンにマシンの部品、その脇に応用物理学関係の専門書が積まれている。 川本和彰(かわもとかずあき)は、頭から毛布を引っ被っていたが、とうとう腕を伸ばし、ベッドサイドの目覚まし時計を引き寄せた。 忌々しげに舌打ちをすると、アラームを止める。 時計を元の場所に戻し、再び毛布を頭まで引き上げた。 川本が二、三回、寝息を立てたところで、今度は、時計の隣の携帯が鳴り出した。 バイブレーター音と呼出し音が同時に響き、点滅しながら、携帯がサイドテーブルの上でくるくると回る。 再度舌打ちをし、川本は、毛布を頭までかぶったまま、携帯に手を伸ばす。 そして、着信表示も見ずに、「……はい」と一言、掠れ声で応じた。 「あ? かーわーもーとー?」 素っ頓狂な女の声が響く。 「……うるさい、俺は非番だ。じゃあな」 低い掠れ声のまま、川本はすぐさま話を終わらせる。しかし、通話相手はまるで意に介さない。 「うん、で。川本、あのさあ」
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