第一夜

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森の中の夜は月光が差しても暗い。 そんな中でも夜目がきく私でも、すぐに現状を理解することはできなかった。 体をさす空気の冷たさに殆ど物を着ていない自分、それと共に鼻をつく臭いに気持ち悪さが込み上げた。 目の前に広がるのは、ぐったりと体を倒し血を流している人間の男たち。 これは私が...? 記憶をさかのぼっても答えはでなくて、どうしたらいいのかわからなくて頭を抱えた時、自分の手に前の男たちと同じモノがついていて、もしかしたらと考えると息苦しくなって、呼吸が荒れて、信じたくない真実が目の前にあって、ぐるぐると頭の中がかき回される心地がした。 その瞬間に、誰かに抱きすくめられて、視界からその気持ちの悪い光景が消えて大きな月が目に入る。 大きな月はまるで太陽の様に暖かで、それは今、私を落ち着かせようと背をさすってくれる、この世で一番大切な人の腕の中であることと一緒だった。 不思議。 どうして、いつもこの人の腕の中でなら安心できるの? 答えなんてわからないようで、わかっている。 この人を、守りたいから。 この人の為なら、なんでもできると思っているから…。 そのまま、気が遠のいていく中で、ずっと、永遠に私は暖かさを感じていたかった。
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