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頭がくらくらする。
心臓がどきどきする。
身体が熱くなる。
「ゆーき、おきてるかー?」
ぷはって何とか顔をそむけて息を継いだ。
ちゅううううううって、絶対わざとでしょっていうくらい大きい音を立てて、のんちゃんの唇が離れる。
多分、僕の顔は真っ赤になってると思う。
ふわふわしてるけどぽかぽかしてて、風邪をひいたときみたいでうまく息ができないから。
「の…んちゃん?」
「おいおい、いい顔してんな、お前」
くつくつと喉を鳴らして、のんちゃんが楽しそうに笑う。
何が起こったかよくわからないけど、全然嫌じゃなかった。
それよりものんちゃんが上機嫌なのが嬉しかった。
「兄貴…頼むから、うちの子で遊ぶのもほどほどにしてくれ」
父さんがそう言ってたけど、全然、遊ばれた気がしなかった。
だんだんと頭が回ってきて、これがちゅーだったんだってわかったけど、嫌じゃなかった。
怒る気にもならなかった。
もう一回してくれないかなって、思った。
そんな小学6年の祭りの夜。
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