おそろい

2/4
前へ
/4ページ
次へ
「ねぇ、功さん、見て見て!」  華やかな声に、俺は顔を上げた。 「じゃんっ!!」  目の前にいるのは、もちろん、俺の愛しい妻である依代。  生まれつき体の弱い彼女は、儚く笑うことはあっても、こんな風にはしゃぐことは滅多にない。  サラサラの黒髪をなびかせて、はにかむように笑う彼女は、いつも通り愛らしい。  だがその顔に見慣れないものを見つけた俺は、思わず目をしばたたかせた。 「功さんと、お揃い」  依代の鼻の上にちょこんと乗っていたのは、シルバーフレームのメガネだった。  そのつるを左右の手で支えるように持った依代は『テヘヘ』と嬉しそうに笑う。 「ブルーライト遮光眼鏡? とかいうんだって。  パソコンをする時に、いいみたいだよ?」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加