序章

2/15
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
ガラガラ 病室のドアが開く音がした。 「純、体調はどうだ?」 「あぁ。お前か。」 入って来たのは、西多 悠斗。俺の親友。 「お前か、って。お前なぁ。仮にも親友に対して冷たくね?」 「べーつに。俺、外見てたんだし?ノックもなしに入ってくる奴に言われたくねー」 「やっぱ、お前変。ホントに何も覚えてないのか?」 そう聞いてくるコイツは流石だと言う以外言いようがない。 俺の親でさえ気づかないような些細な俺の変化にも直ぐに気付く。長年、一緒にいただけあるってことか。 「ああ。何にも。」 それでも、俺はウソをつく。これで何度目だろうか。最近はいつもこのやり取りだ。そろそろ、コイツもキレるだろうな。 「いい加減にしろよ?いつまで、そんな嘘つき続けるつもりだよッ。」 ほらね。でも、こればかりは仕方がない。 「嘘なんてついてねぇよ。」 そう言えば、悠斗が睨んできた。まるで、もう一度嘘を吐けば許さない、と言うみたいに。 でも、こればかりは仕方がない。だから、俺もアイツを睨み返す。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!