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母が友那の手にルージュを握らせる。
まだ小学生の友那には、まだ母が言わんとしていることが分からない。
不思議そうな顔をする友那の頬を、母は優しくなでた。
「友那には幸せになってほしい。 お母さんみたいになっちゃだめよ。 いいわね、よく覚えておきなさい」
「……うん」
これが、母から言われた言葉だ。
まだ幼い頃の記憶だけれど、鮮明に覚えている。
この時は分からなかったけれど、この言葉の意味を理解するのにそう長い時間はかからなかった。
そして私は、母に言われた通りに生きる決心をした。
母が望んだとおり、幸せな人生を歩むために。
それから……
――――世の男たちに、復讐するために。
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