便利屋はルージュをひく

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―――――――――――――― チャイムが授業開始時刻を知らせる。 いつもなら廊下に生徒があふれていて、教室に戻すのに一苦労するのだが、今日はやたらと静かだ。 和希は不思議に思いながらも自分の担当教室の扉を開けた。 「授業するぞ……」 しかし、そこに生徒はいない。 ずらっと並んだ机といすには誰一人として座っていない。 そして教室の一番後ろで、腕組みをして壁に寄りかかっている女。 「どうしてあなたがここに……」 雲母はフフッと笑うと、教室に不似合いなハイヒールの音を響かせて和希に歩み寄ってくる。 「あのね、まだ分からないの?」 「……何がですか」 「いい加減、目を覚ましなさいよ」 そう言いながら、雲母は和希に平手を食らわせる。 「何するんですか!?」 「いいから起きろって言ってんだこのボケが!!」 雲母の拳が飛んでくる。
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