108人が本棚に入れています
本棚に追加
――――――――――――――
チャイムが授業開始時刻を知らせる。
いつもなら廊下に生徒があふれていて、教室に戻すのに一苦労するのだが、今日はやたらと静かだ。
和希は不思議に思いながらも自分の担当教室の扉を開けた。
「授業するぞ……」
しかし、そこに生徒はいない。
ずらっと並んだ机といすには誰一人として座っていない。
そして教室の一番後ろで、腕組みをして壁に寄りかかっている女。
「どうしてあなたがここに……」
雲母はフフッと笑うと、教室に不似合いなハイヒールの音を響かせて和希に歩み寄ってくる。
「あのね、まだ分からないの?」
「……何がですか」
「いい加減、目を覚ましなさいよ」
そう言いながら、雲母は和希に平手を食らわせる。
「何するんですか!?」
「いいから起きろって言ってんだこのボケが!!」
雲母の拳が飛んでくる。
最初のコメントを投稿しよう!