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それを四回繰り返し、コップにいっぱいになったところで、丸く曇りのないきれいな氷を入れて、和希の前に差し出した。
「昨日はとても酔っていらしたみたいですし、これが一番スッキリすると思いますよ」
「ありがとうございます……」
最高だ。
言わなくてもこっちの意図をきちんと分かってくれている。
天使のような笑顔を前にして、自然に頬の筋肉が緩むのが分かった。
「お洋服のサイズ、大丈夫でしたか?」
「あ、はい……。 もしかして、天羽さんが用意してくれたんですか?」
「ええ、雲母さんに頼まれて。 気に入って頂けるかすごく不安だったんです」
「もちろん!! ありがとうございます」
「いいえ、お礼は雲母さんに言ってください」
はにかむ彼女が最高にかわいい。
なんとか話を続けたい和希は、必死に話題探しをして話しかけ続けた。
「綺麗なお店ですね」
「ありがとうございます」
天羽が再び飛び切りの笑顔を見せた。
「このお店のものはすべて雲母さんが選んだんですよ。 あまり派手じゃないけれど、ここにいると私も落ち着いて仕事ができるんです」
店のものはすべてダークカラー。
照明も抑えられ、薄暗い。
天井からつりさげられたランプが手元を暖かい明かりで照らしてくれる。
カウンター側の棚には様々な種類のボトルが、高い天井の上まで続いている。
反対側の壁には、同じ高さの棚にずらっと本が並んでいた。
二メートル以上ある高い天井の店。
本棚にもバーにも、スライド式の簡易梯子が取り付けてある。
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