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どうしてこの人は一々とげのある言い方をするのだろうか。
「大きい会社とかだと、色んな所からぼろが出た結果倒産に……、なんてこともありますから。 そういうことだと、思いますよ? ね?」
天羽の不自然なほどの笑顔が止まらない。
目が和希と雲母を交互に伺っている。
同じグラスをずっと磨いているから、ほとんど思考は雲母に傾いているのだろう。
「それで、便利屋って、どんなことをするんですか……?」
「そうねぇ。 結構なんでもやるわよ」
「例えば?」
再び雲母が和希を鋭い目つきで睨みつけたため、今度は天羽が最初から説明を始めた。
「何でもです。 例えば、迷子になっちゃったペットを探しにいったりもしますし、浮気調査なんかも引き受けるんですよ」
「探偵、みたいな感じなんですかね」
「大体はそんな感じだけど、でも、うちの強みは、社会の縛りに負けないってことね」
「どういうことですか?」
天羽が苦笑いを浮かべたまま小さな声で囁く。
「若干、世間的にダメと言われてる事もしちゃうことが……、稀に、稀にですよ? ある、っていうことなんだと思います……」
「えっ!?」
思わず大声を上げた和希を雲母が睨む。
「うるさいわよ」
「すいません……。 でも、そんな、法律を破るなんて聞いてないです」
すると、雲母がスマホをカウンターに置いた。
「私ね、法律とか関係ないの」
「あの、そう言う問題じゃ……」
「黙ってて」
「すいません」
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