愛しき日々

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 時間を忘れて仕込みに没頭するキングは、引き戸が開く音を聞く。  だが、訪問者の正体は解っているので、驚く事は無い。 「キング、ただいま」  元気よく入って来た所を見ると、お目当ての物を見つけたようだ。 「ついに見つけたよ。幻の酒、石乃伊良。 もう、問屋という問屋を捜し回ったよ」  彼女は、この居酒屋をキングと一緒に経営している君丸。通称、君ちゃん。  キング同様、客を楽しませる事にかけては真剣に取り組む。  君ちゃんは、幻の酒を今日のために数日前から捜していた。  そう、今日、10月10日は、「皆の衆☆」が店仕舞いする日だった。
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