私だって、つらい。

2/12
前へ
/42ページ
次へ
学校から帰宅したミカは、自宅のリビングでぼんやりとテレビを見ていた。 少し窮屈に感じる制服を脱いで、ラフな部屋着でテーブルの上に両腕を置き、あごを乗せる。床のカーペットにべたっと座って、後姿はなんともだらしないかもしれない。 今テレビで流れているのは、夕方のニュース。内容はあまり頭に入ってこない。女性のニュースキャスターの声が、ミカの耳には遠くなったり近くなったりして聞こえていた。 ミカは高校2年生。 元気で明るく、友達も多い普通の女の子だ。友達とのおしゃべりは時間を忘れるほどで、笑顔も絶えない。一緒にいる友達も、ミカの笑顔が伝染したようにやわらかくなる。 しかしその反動か、友達と別れ家に帰ってくると、ひとりぼんやりとしている事が多かった。 制服を着る事が窮屈だと思うようになったのは、いつ頃からだろうか。 友達との会話で、頬が引きつっている事に気付いたのは……? 仲の良い友達に囲まれる事に、プレッシャーを感じるようになったのは? くにゃりと視界が歪む。 テレビの画面にノイズがはしる。 濃い眠気に抗わず、まぶたをそっとおろした。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加