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電話をする事を諦めたミカは、2階の弟の部屋に向かった。
2歳年下の弟。中学3年生で今年受験。勉強の相談にのったり、息抜きに散歩したりしながら受験の為に頑張っている。
お姉ちゃんと同じ高校に行きたいんだ、と自分によく似た笑顔で話す弟は、頭も悪くないし、性格もおとなしくて優しい。志望校になるミカの高校は偏差値も高くないし、中学で普通に成績を収めていれば問題なく受かるだろう。
いまだに子機を握ったままなのに気付きながらも、これを手放したら身体から一気に力が抜けてしまいそうでそのまま。階段を一段ずつ踏みしめ、弟の部屋のドアをノックもなしに開ける。
隣にあるミカの部屋と造りは同じで、しかし色合いの雰囲気が男の子の部屋だ。その部屋の真ん中あたりで、天井のライトに縄をくくり付けてぶら下がっている弟の姿が、ミカの目に飛び込んできた。
頭の処理が、追いつかない。
それでも目の前の光景が何であるかを理解したらしい身体は、喉に込みあがってくる気持ちの悪いものを吐き出し、へたりとその場に座り込んだ。
「なん、で……?」
もちろん、聞いても答えはない。
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