妄想喫茶

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 読むのは、一日一話と決めている。そのお姫様の気分のまま、一日を過ごしたいから。  最初の物語は、異国の悪い王にさらわれたお姫様を王子様が助けに行く、というものだった。  王子と姫は幼馴染で、お互いを深く愛しあっていた。  しかしその美しい姫を手に入れようと、異国の悪い王がさらったのである。  お姫様は……否、わたしは、異国の城の中で、愛する王子が助けに来てくれるのを待っている。  さめざめと泣きながら……  そして、勇敢な王子は危険を顧みず、わたしを助けに来てくれる。悪い王と、その手下をなぎ倒して。  悪者を倒した王子は、助け出したわたしを強く抱きしめた。 「もう、離さないよ」  わたしの脳内で、本には書かれていない王子のセリフが再生された。  そして、わたしの王子への愛は、限りなく膨らんだ。  わたしは妄想の中で、王子の胸に抱かれる感触に酔いしれていた。
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