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次の日、わたしはいつもの席で、二つ目の物語を読んでいた。
それは、二人の王子から結婚を求められるお姫様の話だった。
「まったく、羨ましいったら……」
独り言を言いながら、ページをめくる。
二人の王子は、何もかもが正反対だった。
一人は積極的で、女にだらしのないイケメン王子。そしてもう一人はハンサムではないけれど、内気でとても優しい王子だった。
姫は、どちらと結婚するか決めかねていたけれど、イケメン王子の強引なアプローチに、首を縦に振ってしまう。
けれど結婚してからも、王子の女癖の悪さは治らず、わたしはいつも泣かされていた。
それを見かねた優しい王子が、わたしを城から連れ出そうとした。
しかしイケメン王子に見つかって、殴る蹴るの暴行……
それでも優しい王子は、こう言った。
「姫を泣かす奴は許さん!」
そのセリフに、わたしは胸を熱くした。
結局、優しい王子の気迫に負け、イケメン王子は身を引いて、わたしは優しい王子のもとで、幸せに暮らすこととなる。
最後のページに、美しい姫と並ぶ、決して男前とは言えない王子のイラストがあった。
「この話は……まあまあね」
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