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……そう、なのかな? だといいなあ。 タイプ的には包んでくれるようなお姉さま……? いや、でも甘えん坊でもかわいいかも。 私はどっちでも大丈夫だし。 会話をかわしたこともない先輩の姿を盗み見ては、妄想が広がる。 170センチ近い身長に、体育のハーフパンツからスラリと伸びた筋肉質の脚。 小麦色の肌に、髪質が素直そうなショートカット。 1年の教室でうちのクラスだけ階段の隣にあるから、他の学年でも移動時に横を通るのがわかる。 きゃはは、内容までは聞こえないけど、彼女は意外と高い声で笑う。 その賑やかさに気づいたバスケ部の女の子が、私と同じ教室の中から話しかけた。 「せんぱーい」 「あ!ヒナちゃーん。今から飛んでくるよー」 「たいーくですかあ?」 「そう!ハイジャンっ」 「頑張ってくださーいっ」 彼女の笑顔は太陽のコロナ並みに強烈な光を放つ。 機嫌よさそうに手を振って、ピンとした背中があっという間に去って行く。 「先輩、走り高跳びも得意なんだろうなー。爽やかで優しくてかっこよくて!なんで男子じゃないんだろー」 「オトコノコだったら、即告白したいよねー」 「先輩なら抱かれてもいいかも!なんてー、ギャハハ」 見送った彼女の後輩たちは、低俗な表現でその人との遭遇を喜ぶ。 女の子だから素敵なのに。わかってないな。 高みから見下したつもりで頭に浮かんだ言葉を、実際には口に出せるわけもなく、脳裏でかき消した。
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