四品目 壬生浪の洗礼

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「どうしたんですか? おでこが真っ赤ですよ?」 「沖田さんがやったんでしょう!」  腹が立って、当てられた碁石を投げつける。沖田は顔面目がけて飛んできた碁石を、片手で難なく受け止めた。 「もう少し力を抜いて腕を振りぬいた方が、速く投げられますよ」 「沖田さんは私の野球のコーチか何かですか? そんな助言いりません!」 「ははっ、何言ってるんですか? 相変わらず変な人ですねえ」 「――ああもう! うるせえ!」  我慢の限界に達したのか、突然土方が机を叩いた。  花はその剣幕におののいたが、沖田は笑顔のままで、 「そんなに怒ったらせっかくの男前が台無しですよ」  などと茶目っ気たっぷりに言って、土方の背中を指先でつついた。この人に怖いものはないのだろうか。 「お前ら二人とも、今すぐ出てけ!!」  とうとう筆を置いて、土方が立ち上がる。 「まずいっ! 逃げろ!」  沖田はぱっと身体を起こし、花の腕を引いて走り出した。 「ちょっと、沖田さん! どこ行くんですか!?」 「いいから、いいから!」  軽く笑いながら、沖田は走り続ける。花は足がもつれそうになりながらも、必死でそのあとに付いていった。
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