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それを見た瞬間、火でもついたように、頭の芯がかっと熱くなった。
「――殿内ぃっ!!」
叫んだ声は、本当に自分の声かと疑うような、激しい怒りに満ちたものだった。勢いよく足を踏み込み、今度は深く、その身に刀を沈ませる。
殿内は声もなくその場に崩れ落ちた。肩で息をしながら、その姿を見下ろす。
たいして走ってもいないのに、呼吸が乱れて一向に整わない。沖田はふらふらと歩き、少年の前で足を止めた。
地面に膝をつくと、祈るような気持ちで少年の身体を抱き起こす。
「あ……あぁ……」
ため息にも似た声が口からこぼれた。ぬるりとした生温かい感触に、自分の手を見つめる。真っ赤に染まった、その手を。
少年はすでに息をしていなかった。
――私のせいだ。
沖田は思った。
自分があのとき躊躇しなければ、足を止めなければ、この子は死なずにすんだ――。
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