秘密

5/9
前へ
/9ページ
次へ
「お前っていつから俺のこと好きなの?」 最初、俺に言われたのかと思った。 心臓が止まって息の仕方を忘れてしまいそうになった。 食べ始めたばかりのアイスクリームを落としそうになる。 「え?どうしたの急に。」 俺が反応するよりも先に、 サトが言葉を発した。 今度は、言葉も出なかった。 心臓は動きだし、大きく音を立てて脈を打ち始める。 春なのに、背中が冷たくなって 頭が真っ白になっていく。 「なんか気になった。」 俺を挟んだ2人の会話に、俺は笑えなかった。 なによりも、2人の顔を見ることができなかった。 「ふーん。秘密ー。」 弾んだサトの声に、目の前がぐにゃりと歪んだ気がした。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加