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「おう、教えてくれて
さんきゅーな。」
震えだしそうな足や手に力を入れた。
「そーいえば、今日家族で
寿司食いに行くんだった。
もう帰んねーとなあ。」
ありもしない予定をでっちあげ
それとなく言ってみた。
「えーお前いっつも外食
参加しねーじゃん。」
つまらなさそうに俺を見てケンがそういうと、
サトは笑いながら「お寿司だからでしょ。」と言った。
「サト正解。」
「やっぱりね。」
サトと顔を見合わせて笑うと、
じゃ、あとは仲良くなお二人さん。と言ってもう一度笑ってみせた。
二人とも照れたように笑いながら、
俺に手を振った。
俺は公園を抜けると、いつもとは違う道を探しながら歩いた。
ただひたすら歩いた。
オレンジ色と茶色が綺麗にグラデーションされた空を見ながら
爆発しそうな頭の中を必死で整理する。
目の前には田んぼが広がって、
田んぼの水面に夕陽が水鏡になって写っていた。
欠け始めた夕陽を見ながら
俺は立ち止まった。
整理しても整理しても
受け入れたくない事実を
頭が拒否するから、
それをうまく飲み込むことが出来ない。
表面上ではわかっているけど、
本当はドッキリなんじゃないかとか
ただの悪夢なんじゃないかとか
そんな風に考えて、現実味がない。
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