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「ねぇ、真雪。ここに喜田先生の字で"樹里、好きだよ"って書いて?」 「うん」 子供の頃から私は 誰かの真似をするのが得意だった。 テレビに映る女優の、幸せそうな顔、怒った顔、悲しそうな顔。 誰かが書く字。 何だって…… 誰にでもなれる。 「わぁ、喜田先生が書いたみたい!!本当に真雪ってこういうのは得意だよね。勉強は全然ダメだけど」 「勉強はダメだけどは余計だよ?」 私はそう言って軽く頬っぺたを膨らませる。 「ごめーん、真雪。怒んないで?」 樹里が顔の前で手を合わせ、私は笑顔で答えた。
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