決着。

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 「次はわたしですねー。」  翼を器用に動かし塞をふる。落ちた塞が示すは三。 「三でーす!……わぁ!四進めますー!」  ちるの駒はちょうど進む指示が出るマスに止まったのでさらに駒を進めた。これでちるとチュニカの駒の差は二桁となった。 「では、いきます。」 小さな掌から落ちた塞は、四。 「四です。……。」 「あぁっ!?三戻ってしまいますーっ!!」  差が縮まらない。  ここまで、ちるは塞をふれば大きな目、大きな目が出ないときはなにかしら良いことが起きるマスに止まる一方で、チュニカはとにかく三以下の目ばかりの上、戻ることが多々ある。ようやく、四が出たと思った矢先に、戻るマスに止まった。  最初の頃は、残念です、またですね、とチュニカも声を出していたがこうも続くともはや何も言わなくなった。逆にちるはだんだんまるで自分のことのように悲しそうにする。 「さぁ、ちるさんの番ですよ。」 「はーい。」 チュニカ以上に肩を落としているちるに次を促せば、切り替えて塞をふった。 ***** 「到着、ですー!」  二人の駒の差は縮まるどころか大きくひらいて終わった。 「おー、終わったか。これはまた……すげぇ差だな。」  店の主人が様子を覗きにきて、クツクツと楽しげに笑った。 「完敗です。」 素直に負けを認めるチュニカ。それに主人は眉をぴくりと動かす。 「いさぎよいな。――にしても、チュニカちゃんの口から"完敗"の言葉が聞けるとは……」 そしてにやにやとちるの方を向いて、お嬢ちゃん、よくやった!と親指をたてた。 .
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