序章 あらすじ

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天平神護二年(766年)白壁王は息子第一子となる山部の君を使い。 自分の地位を使い、式部省(人事部)史生(事務官)として働かせながら、称徳帝と道祖僧主の関係を探っていた。 また仲麻呂の乱により位を下げられていた藤原姓の百川とも連絡をとりながら、都東近江の守護を預かる守目天とも連絡をとっていた。 守目天は鬼の名を守天童子、朱天童子とも言われ、都にて藤原の姓を持った良継と名乗っていた。 初代帝、神武が神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)の時代の豪族が神残しとする黄泉川原の魔を払う役目を担う存在となり受け継いできた役目である。 しかし度重なる黄泉からくる瘴気により、醜い鬼の姿と神通力を預かる化物と成り果てたのが、守目天の先祖達鬼一族である。 鬼一族は神武からの次代帝に仕える存在である故に、歴代での帝には復配の姿勢を貫いてきた。 しかし守目天の祖父に当たる五穀天が、当時の大友の君に仕えず、京都で乱を起こした大海人の君に加担して、天智に味方していた仏子と対立、大海人の君により天皇制が確立された後に、姓を与えられ、藤原の名前を頂いた。 白壁王は聖武帝から都の正常を危惧していた近江鬼族と懇意にして、都の乱れを本当の裏から探っていた。 しかし仲麻呂の乱からの流れで表立って自身が動く訳にもいかず、また称徳帝が鬼一族の存在に不審がちになった為、仲麻呂の鎮静を預かっていた白壁王は、式部省に勤めていた山部の君を使っていた。 権威権勢だった帝の位は、実行者を押さえ込む権力者となり、怪僧とまで言われた道鏡の出現により、暗雲立ち込める魔を含んだ都に変わる時代、後に日ノ本全てに起こる魔性の者達との戦いとなる大きな流れが動きだそうとしていた。
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