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「ええ?テツ君?」
「ただいま!あれ?起きてたんだね?」
くすくすと悪戯っぽく彼は笑い、ベッドの端に近づいてきた。
しゃがみこんで私の顔を覗き込むと、軽く唇を重ねる。
甘いリキュールの香りをさせている彼の唇。
ほんのすこし、冷たい。
「え?え?
プロデューサーさんとの打ち上げは?
え?もう帰ってきたの?」
「撮影早く終わったんだよね。
それに、あんな、可愛いメッセージもらったらさ、
飛んで、帰りたくなっちゃうでしょ?」
「あれのどこが可愛いの?
思いっきり意地悪なメッセージなのに」
瞬きを何度もして驚く私。
まだすこし濡れている髪を優しく撫でる彼に尋ねた。
送ったことを後悔したメッセージ。
それをみてとった彼の行動が、不思議でたまらない。
「僕に帰ってきて欲しかったんでしょ?
わっかりやすいなぁ~~♪」
太陽をひっくり返したかのように豪快に笑う彼に向かい、マキシワンピの裾を直し、姿勢を正した。
「...でも、
お仕事の時間、邪魔しちゃったよね。
...ごめんね?」
「なにいってんの?
僕とヤマさんの仲だよ?
もう~。
そんな小さなことを、気にしなくっていいの!」
私の頭を、まるで子供を宥めるようにポンポンと叩いた。
大きな掌は、あったかくて、心地いい。
ベッドの縁に腰かけ、私の肩を強く引き寄せた。
テツ君の肩に頬を預ける。
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