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「わたしの夢はアロンのいる所へ、いつか行くことだよ!」
その声は届いたのだろうか?
アロンは振り向かなかった。
ただ過ぎ去る雲を見て、出航を報せる鐘の音を聴いていた。
コバルトブルーの海原を、白い帆を張った帆船が小さくなって往く。
わたしは、想う──
風よ、カモメよ、わたしの想いの花束を、あの人へ届けて。
かけがえのない夢ならば、人は何処までも行けるの?
誰もが叶わぬ夢を追い駆けるなら、それは幸福と呼べるの?
夢に終わりがあるのなら、
この想いにいつか終わりがくるのなら、
アナタを癒やす風となり、
アナタを慈しむ光となり、
アナタを追い駆ける希望となって、
アナタの夢と笑顔を、わたしは迎えに行こう。
想いの花束を敷き詰めて、アナタのいる場所に、つながる日まで。
──Fin
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