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「ボクの夢は、エリーシャのいるこの島を、戦から護ることなんだ」
「そんなの誰かがやってくれるよ、なんでアロンが?」
「誰かがやらなければ、ならないことなんだ」
「だから、なんで?」
「それを知らないフリをして、背を向けることはできないんだ」
アロンの決意は固かった。
「アロンはこの島の幸せが嫌なの? 小さい島だけど、みんな仲良く暮らしてるじゃない?」
「エリーシャ、人はいつか旅立たなければならない時がくるんだよ」
「だからって……」
そんな悲しいこと言わないで、アロン。
「お嬢ちゃん、旅立つ者に涙は禁物だよ」
船長さんが優しい声で、白い雲に向かって言った。
風に吹かれる雲の下で、白いカモメが鳴いている。
「もう行くね」
背を向けて、船に乗り込むアロン。
「最後に聞いて、アロン」
わたしは精一杯の声で、アロンに届くように叫んだ。
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