第6章

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――梅雨の時期って、くせ毛が凄い事になるからあんまり好きじゃなくて。 けれど雨の音や匂いは嫌いじゃなくて。 こんな日は旧校舎の素敵な部室で静かに読書でも……とは、いかないのだった――  ざああ、と今日は午前中からずっと雨が降っていて、教室もべたべたと湿気がこもっている。 「あーもー、べったべたするねー。早く夏服にすればいいのに」  帰りの礼が終わった後、亜希が鞄とスポーツバッグを肩に掛けて、セーラー服の胸元をぱたぱた、と仰ぎながら私の席に来た。 暑いのが我慢出来なかったのか、靴下も脱いでいて、セーラー服の袖も肘までまくり上げている。 「衣替えは来週だし、それまで我慢」 「んー。って、千草、まだ髪の毛、気にしてんの?」  うっ。
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