第6章

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 私は両手で髪の毛を押さえていたのだけれど、これには理由がある。 雨のせいだ。 くせ毛の私には天敵で、つまりいつもは、ふわふわ、くらいなのだけれど、もっとこう、爆発した、みたいに、もっこもこ、という感じになるわけで。 「雨の日のくせ毛は大変だねぇ」  亜希は直毛でしかもショートヘアー。 「洋子も今日は太い三つ編みしてまとめてたしさ。千草も結べるくらい髪長ければそーんな気にしなくて済むんだけどね」  ロングヘアーも嫌いじゃないけれど、伸ばしてると切りたくなるというか。 「ほら、部活行く前に髪、もっかいやってあげるからミスト出して」  と、亜希は鞄を床に置いて私の後ろに回った。 私は鞄からミストを出して、亜希に渡す。 頭から手を離したら、ぶわん、と髪の毛が浮いたのがわかった。 「昼休みにもやったのに、すっご」
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