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「うっそー。はい、鏡」
亜希はスカートのポケットからコンパクトミラーを出して、私を映してくれた。
爆発していた髪の毛が少し落ち着いている。
これなら手で押さえなくても大丈夫そうだ。
「ちょっとはましになったんじゃない? と、部活部活。じゃあまた明日ねー」
「ありがとー」
私は手を振り、走って教室から出て行く亜希を見送った。
そして私は自分の頬をつねる。
……やっぱ、ちょっと丸くなったかも……。
――――
トイレでもう一度鏡を見て髪の毛を確認した私は、鞄を肩に掛けて昇降口でスニーカーに履き替えた。
雨はまだ強く降っていて、そこに。
「蝶野」
「ん? あ、立花君。先に出たと思ってたのに」
亜希に髪の毛を整えてもらっていた時には、前の席に立花君はすでにいなかった。
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