第6章

5/40
前へ
/40ページ
次へ
「うっそー。はい、鏡」  亜希はスカートのポケットからコンパクトミラーを出して、私を映してくれた。 爆発していた髪の毛が少し落ち着いている。 これなら手で押さえなくても大丈夫そうだ。 「ちょっとはましになったんじゃない? と、部活部活。じゃあまた明日ねー」 「ありがとー」  私は手を振り、走って教室から出て行く亜希を見送った。 そして私は自分の頬をつねる。  ……やっぱ、ちょっと丸くなったかも……。 ――――  トイレでもう一度鏡を見て髪の毛を確認した私は、鞄を肩に掛けて昇降口でスニーカーに履き替えた。 雨はまだ強く降っていて、そこに。 「蝶野」 「ん? あ、立花君。先に出たと思ってたのに」  亜希に髪の毛を整えてもらっていた時には、前の席に立花君はすでにいなかった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加