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「キル様が起きるのがあっんまりにも遅かったので、ほかの人が食べちゃいました」
「な、何!?」
そう聞いた瞬間、キル様は目をまんまるに開いて驚く。
「そんな……朝ごはんはオレの好きなメニューばかりなのに……。
どこのどいつだ!! オレの朝食!!!」
そう言った後も、オレの朝食ぅぅ、とずっと嘆いている。
私はその姿を見て、再び鼻で笑った。
朝食を抜かれるだけでそんなに落ち込むなんて。
さすが王族だ。
そんなんだから、奴隷の食事が一日一食でつらいことが分からないんだ。
「あ!! またおまえ鼻で笑っただろ!!
もー、どうしてくれるんだよ、オレの朝食!!」
キル様はフォークを片手にダダをこねる。
顔だけよくて、自分の事しか考えない、最低な奴だ。
「はあ……」
私は溜息を一つついた。
なんだって王様は我儘なんだ。
なんでこうも欲望全開なんだ。
自分ですることなんてできないくせに。
何もできないくせに……。
……いや、だけどこれは逆にチャンスかもしれない。
キル様を早く起こすための。
そう思った私は、キル様の方を向いて笑顔を向けた。
「大丈夫ですよ、キル様。
明日から早起きすれば、誰もあなたの朝食は食べません」
「何!?」
「ですから、明日から早起きしましょうね」
ニッコリ。
私はキル様にそう告げた。
「な……なんだと……。オレに早起きしろと……?」
まるでこの世の終わり、みたいな顔をしてそれを拒むキル様。
「別に無理して起きなくてもいいですよ?
でもまあ、朝食は……」
「うあああ!!! ちょまった!!
朝食抜きはやだ!! ああでも早起き……」
キル様はごろごろごろごろベッドの上で考える。
相当迷っているようだ。
私は溜息を一つついた。
「わかりましたよ、キル様。朝食抜きでいいんですね」
「……ああもう!! わかったよ! 早く起きればいいんだろ!?
早く起きれば!!」
「はい」
「うああ、わかった! 起きる! 早く起きるから、あんたはちゃんと朝食をガートしといてよ!!」
「さすがキル様! えらいです! 早く起きるなんて!」
「だろ!? やっぱオレって天才!!」
「はい! そうですね! キル様天才ですね!」
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