夢物語 一

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「私の心配なんていらないです! それより早くいきますよ!? 期待に胸を膨らませー」 心の声が漏れた気がする。 私は三度目、ドアに手をかけた。 「待って、それはやっぱ悪いよ。 これあんたのでしょ、返すってー。 オレはなんか……あ、スリッパでいいや! ラッキー!」 そう言ってキル様は私に靴を返した。 ダメだ。スリッパじゃ。はだしと一緒だ。 何が「ラッキー!」だ。 靴がない方が「アンラッキー」なのに。 一体何なんだこの人は。 第一私は奴隷なんだから、心配なんかいらないし! 王族は王族らしくふんぞりかえってればいいの! それより私は素足で雪道をなれてるからいいけど、キル様は絶対慣れてないでしょ! 途中で死なれたりしたら逆に迷惑なの!! 「もう! そんな心配いらないんですよ! ほんとにほんとに外は寒いんですよ!? 凍え死んだらどうするんですか! あなた王子なんでしょう!? 奴隷の私なんか心配するだけ損ですよ!」
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