夢物語 一

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「はぁ? 体温計? てかそんなに怒らなくても」 「体温は毎日測るようにっていわれてるのに……」 やばいやばい、と連呼しながら私は内ポケットを探したり、その場を飛び跳ねてみたりする。 が、 「ない……。どうしよう……」 体温計は、キル様の異常がすぐに見つかるようにいつも手元に置いておかなければならない。 それをなくしてしまったら……どうなるかわからない。 首切り、まではいかないと思うけど……。 あ、でももしかしたら部屋にあるのかもしれない。 いや、でもそんなものはなかったような……。 私がもんもんと考え込んでいると、キル様は笑った。 「ちょっと! 私、今本当に真剣に!」 「大丈夫大丈夫。 じいも体温計? なくしたことあるし」 「え?」
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