夢物語 一

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「何やっとんじゃお主! この王宮の、大事な大事な水を街にこぼしてくるだぁ!? ふざけてんのか!!」 魔王の怒声が、王宮中に響き渡った。 「……」 「ちっとは話せやごらああ! おまえ黙ってれば説教が終わるとでも思ってんのか!? あれはなあ、大事な大事な水なんだよ! くそっ、これだから奴隷はだめなんだ、全くつかえねえ」 「……申し訳、ございませんでした」 私は、深々頭を下げた。 「すみませんで済む話じゃねえんだよ! あーもう! おまえは小屋いきだ小屋! おいそこのやつ!」 「へ、へへへい!」 魔王に指を差された兵士らしき人が、あわてて返事をする。 おかしい返事だな、と笑いそうになったのを、私はこらえた。 「こやつを小屋に連れて行け。 それでお前が納得いくまでムチで打ってろ。 飽きたら豚のえさにでもしてやれ」 「わ、わかりました」 びくびくしながら返事をした兵士は、私のそばまで来て言った。 「おら、立てよ」 相手が私だからだろう。魔王に対する態度と一変していた。 私はゆっくり立ち上がる。 「おせえんだよ糞が!」 パチィインと肉が引き裂かれそうな音が響いた。 目線を下げると、私の足からは血が出ていた。 どうやら兵士がさっそく、ムチで私をたたいたそうだ。 「おら立てよ!!」 パチンパチンとつづけてムチの音が鳴り響く。 「こら、やめんか!!」 と、次には魔王の声が響いた。 「今ムチで打ったってしょうがないだろう。 小屋まで連れていくのに苦労するのはお主じゃぞ。 たたくのは小屋にはいってからでいい」 魔王の言葉を聞いた兵士はすぐさまたたくのをやめる。 「は、はい! わかりました!」 さっきの威勢はどこにもなく、やはりびくびくした声で兵士はそういった。
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