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イ草か、ただの草か、それとも藁か……とにかく豚の小屋で私は手と足を縛りつけられた。
兵士はそうとう怒っているのか、これをきつく結びつける。
脱出を試みたが困難だと思い、やめた。
「ふっふっふ、できたぞ、これでムチが打てる!」
十字架にされた私を一見して、兵士は満足そうにそういった。
「さっきはてめえのおかげで魔王に怒られちまったからな。
まずはその分を打たねえと!」
魔王に怒られたのはあきらかに兵士のせいで、私は何も悪くない。
そう思って兵士をにらみつけると、兵士もこれが通じたのかよりいっそう、みけんにしわをよせムチを打ってきた。
「なんだよその目! むかつくんだようっぜぇな!
まじ死ね! この世の恥だ! 死ね死ね死ね!」
“死ね”という言葉はもう慣れていた。
普通の人が“おはよう”というような感じで、私にとって日常的な言葉だった。
「あーまじその目うぜえ。なんだよ金色とか、天界人じゃあるまいし。
いや天界人でもその目はねぇなぁ」
そう言いながら、ムチをふるう。
いつしか来ていた服はぼろぼろで、たたかれる痛みを消え、目にうつるものは自分の血しか見えなくなっていた。
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