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「ケリー氏について知りたければ私達と来るといい」
「帝国に登用されたからってどうなるんだ?」
「私の上司は各地の内情を調査する『独立調査部隊』を組織しようと考えている」
「独立調査部隊?」
「あぁ、我が帝国は規模がデカイ。各地に駐屯基地が存在するも、内情の知れない地域も存在する。帝国領、連合国領、旧連合国領問わず調査に出向いて貰う」
「……その部隊に俺達を使うというわけか」
ニキータはうなずいた。
帝国領はともかくとして、連合国領に出向くとなると、帝国とは違う情報が手に入るかも知れない。
戦場となった旧連合国領も、実際に父親が戦ったのならばなおさらだ。
「ちょっといいですか」
申し訳無さそうに手を挙げたのはネオだった。
どうぞ、と言うようにニキータは目線を送る。
「もし俺達が去ったらこの町は?カイはどうなるんです?俺達みたいな自警団に支援要請が来るようなことがあるのならば……いまいち帝国軍に任せられません」
「それについては上層部に報告してある。増強の部隊を送るとの返答だった。これで兵士達がピクニックに行っても手薄にならないだろう」
「ふーん……レオ、どうする?」
「あぁ、そうだな」
レオは腕を組み、宙を見上げた。
鉄板で出来た装甲の天井には配線が張り巡らされ、どこかへと続いている。
帝国の登用に応じ、独立調査部隊となれば父親の情報が手に入るかも知れない。
だがネオの言うように生まれ育った町を守れなくなる。
帝国は信用に足るのか……それを言うならこの登用自体、信用してもよいのか。
「……一晩考えさせてくれ」
「いいとも。どちらにせよ君の答えが出るまで私達はここで休暇だ」
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