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バギーの運転席に一人乗り込み、一人は助手席へ、もう一人は機関銃座を担当し、最後の一人がアークレットと男を手招きした。
「……!」
一瞬の瞬間だった。
けたたましいエンジン音の中をかい潜る鋭い音をアークレットは聞き漏らさなかった。
明らかな銃声……だが部下達に警告を伝えるまでに一人の部下が倒れる方が早かった。
「レイピア4ダウン!発砲を許可!正面!」
アークレットは男を引きずるようにバギーの影に隠した。
部下達の応戦する銃声……暗闇から投げ出される銃声……もはやどちらがどちらかわからない。
ただ、先手を取った向こうが優勢であった。
現にこちらは一人やられた。
タグを取り、ポケットにねじ込む。
タグの主は頭を撃ち抜かれ、中に詰まったものをぶちまけられていた。
「少佐、やはり私はここまでのようだ」
「!?なにを言うんですか!」
「私の命を狙い、民衆がまとまるのならば……私の命など安いものだ」
「大統領!!」
「少佐……いや、アークレット君。君とは良い友人になれそうだった」
「セレホドー大統領!!」
アークレットの叫びも虚しく、セレホドーは銃声の中に飛び出した。
銃声の嵐の中に歩みを進めるセレホドー。
その後ろからアークレットはやけくそのようにライフルを乱射する。
「ロイネ、機関銃を貸せ!スミス、リード、大統領は!?」
運転席と助手席のスミスとリードは返事をしなかった。
アークレットの声を背で受け、ただ血を流しながらダッシュボードに伏せている。
「くっ……ロイネも援護射撃を!」
「そうはいかん」
「!?」
アークレットが反応した時には体の自由は奪われていた。
何者かに羽交い締めにされている……!
銃座から降りたロイネも身動きが取れない。
「くそっ、何者だ!」
「君達の敵、だよ」
「馬鹿にしやがって!」
「むごっ」
ロイネが隙をつき、敵を投げ飛ばす。
敵が地面に背をつけるや、サイドアームを構え……銃声がひとつ。
「なかなか優秀な部下をお持ちだな」
「ロイネ!」
ロイネはサイドアームを構えたまま崩れるように地面に倒れた。
銃声はアークレットの後ろからしたものだった。
「貴様……何者だ!大統領はどこだ!」
「セレホドー氏は地上へ移動した。君も来てもらうよ」
ガチャリと音がし、腕が重くなる。
手錠だ、手錠をやられた。
「ケリー・アークレット少佐」
「なぜ俺の名を……」
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