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「どこへ連れていくつもりだ……大統領は?」
「いずれわかるさ」
アークレットは三人の兵士に連れられていた。
一行はアークレットが来た道を引き返すように進んでいた。
襲撃をしてきたのは三人程度ではないはずだ。
ということはクーデターの中に別動隊がいるのか……それも小規模ではない。
それがあらかじめここに伏せたいたとなると、どこかでこちらの作戦が漏れたのだろう。
クーデターも元々は大統領や国に忠誠を誓ったロディニアの兵士達だ。
「くそっ、反乱分子め」
「反乱分子?何を言う」
「なんだと?」
「クーデターも家族や友人、しいては国を思って決起したんだ。それは反乱分子かも知れないが、彼らにも正義がある」
「それは敵の理屈だ」
「だがあれを見てみろ」
いつしかトンネルを抜けレンガ邸宅に到達していた。
先程までいた大統領室は荒れ果て、敵味方もつかないような死体達が床に伏せていた。
元々はひとつの軍隊、違いがあるとすればその精神とヘルメットに赤いラインがあることくらいだ。
「彼らは自分の信じる物の為に現政権を打倒することを選んだ。数も正規軍を上回る。これが人々の声なんだよ」
「ふん……それなら俺も自分の信じた物に尽くすだけだ」
「それがセレホドー氏と?」
「あぁ」
「遺言としてはかっこいいな」
「……馬鹿にしているのか?」
「いやいや、ロディニアの英雄を馬鹿にする愚か者はおるまい」
「はっ」
こいつと喋っていると頭が痛くなる。
そういえば、とアークレットは思い出す。
大統領室を出てすぐ、ここは最終防衛ラインで大統領を逃がす時間稼ぎのために兵士を配置したエンドラインだ。
激戦を物語るように正規軍、クーデター双方の大量の死体、散らばる空薬莢、持ち主を失った武器。
王宮のような内装も見るも無残な廃墟同然だ。
ここでアーチャーやブロンズ、他の部隊も散った。
彼らは報われたのだろうか。
「なにを考えている?」
「いや……あ、お前達の武装はロディニアの物とは違うな。口が達者かと思ったら、傭兵か?」
「まぁあながち間違いではないな」
「というと?」
「とりあえず外に出るぞ。アークレット少佐にはそこまで来てもらう」
「最後の散歩か」
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