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膝を立ててその上に腕を乗せ、ぼーっと湖の向こう岸に見えるビルや民家の建物の羅列を眺める。
すっかり薄暗くなった空の下に、控えめに光る街のネオン。
ざわざわと雑音を繰り出す観覧客の喧騒とは対照的に、静かにただ悠然とそこに存在する広い水面を見ていたら……。
なんで俺、せっかく花火見に来てんのに、孝生と喧嘩してんねやろとか。
なんで今、俺の隣に孝生はいーひんねやろ……とか。
全部自分のせいなのに、またアホみたいに泣きたくなった。
「あー!疲れたわー!!どや?俺、めっちゃ集めてったで!!」
地蔵のように微動だにせずにその場に座り込む俺の隣に、やっと帰ってきた委員長がガシャリと缶の入った袋を落とす。
どこにこれだけの空き缶があったんや?と不思議でならないその量に一目おいた後、興味なさげに目を伏せた。
もう缶集めとか、どうでもええわ。
「なぁ、孝生は?まだ帰ってきてへんの?」
何も知らんと回りを見渡す委員長に、ドキリと肩が上がる。
「ほんまや!おらんやん!!……もう後10分で花火始まんで?」
「………………。」
別に……もともと孝生は花火嫌がってたし。
間に合わんでも、ちょうどええやんか。
別に、孝生と一緒に花火見れんでも俺は――――
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