キミと、みたい、花火

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「ちょっ、桜太!?どこ行くねん!?もう始まんで?」 「…………孝生、探してくる。」 「はぁ?今から行ったらもう帰ってこれん……って、おいっ!!桜太!!」 委員長の呼び止める声を無視して、観覧客の隙間を逆行して進んでいく。 花火開始時刻が迫っていることで、昼間通路となっていたスペースにも、人が押し寄せていて。 間をぬって、怪訝な顔を向けられながらもただひたすら孝生を目指す。 日が沈んだ湖岸周辺は、ほとんど灯りがなく、暗くて捜しづらい上に、数えきれないほどの人、人、人。 ほんまにあいつ、どこにおんねん!! 花火見逃したら、孝生のせいやからな!! どんなに目を凝らしても、孝生が見つからないことに募っていく不安。 ウキウキと花火の開始を待ち焦がれる人々の中で、宛もなくあいつを探す自分が誰よりも孤独に思えて。 言い様のない焦燥感に襲われかけたその時。 ぐいっと真横から、手首を引かれた。 一瞬ビクついて振り返ると、地面に腰を下ろし真っ直ぐに俺を見上げる意中の人物の瞳にぶつかる。 「っ……孝生。」 ずっと探していたその姿に、顔が歪む。 「お前、こんなとこで何してんねん。」 いつもと変わらない口振りで話しかける孝生に、また涙腺が緩みそうになった。 「……こっちの台詞や、アホ。」
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