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つまり……、孝生が外で俺に冷たいのは、回りを気にする俺のためで……。
花火行きたない言うたんは――――
「お前ともっとイチャつきたいから。」
「っ、イッ……!?」
俺が思考回路を回している途中で、タイミングよくそれを突き破る直接的な台詞を吐かれて、ぼっと顔面に火がついた。
「おまっ……」
赤面しながら睨み付けると、そこには照れを隠すような複雑な表情の孝生がいて。
それを見た俺の胸が、痛いくらいにきゅうっと鳴いてくる。
あー、なんか。もうあかん。
回りの人間がどう思うとか、そんなことどうでもよくなった俺の腕が、勢いよく孝生のネクタイを引っ張る。
孝生の顔が俺に近づいた瞬間――
その唇を、奪ってやった。
「っ、桜……」
「誰も見てへんねやろ?これくらい、いーやん。」
俺の精一杯強がりの言動に、恥ずかしそうに口許を手で覆う孝生。
その姿がめっちゃ愛しくて……
重ねられた手を、ぎゅっと握り返した。
夜空を彩る色鮮やかな大輪の華。
隣には孝生。
そして…………手のひらから伝わってくるあいつの体温。
黄金に輝く空と湖を見て思う。
やっぱ俺……
孝生とみる琵琶湖花火が、めちゃめちゃ好きや!!
おしまい。
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