81人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
ある程度歩いたところで、チラリと孝生のゴミ袋に目を向ける。
申し訳程度でも缶が収まっている俺の袋に対して、いまだに空気しか入っていない孝生のそれ。
全くもって、やる気なし!!
「なぁ、お前もちゃんと集めろや。そのために嫌々でもここに来てんねやろ?」
嫌々の部分を僅かに強調して、何気に花火の誘いを断られた俺の傷心をアピールするも、気怠そうに息を吐かれて通常運転でスルーされる始末。
「俺……別に、缶集めに来たわけちゃうねんけど。」
そう訳のわからない発言を残した後、だらだらと俺を追い抜いていった。
少し行った先で、缶ジュースを手にした女子高生っぽい三人組に声をかける孝生。
何やら会話している様子を遠目からじんわり眺めていると、突然ぐびぐびとジュースを飲み干した女が孝生に缶を差し出した。
「……………。」
なんや、あれ?
孝生のために、一気飲みしたんか?
缶を受け取り、にこやかに微笑む孝生を見て、端から見てわかるほど頬を赤らめる女子。
それを目にして俺の中に広がるモヤモヤした気持ち。
……孝生はモテる。
背も高いし、顔もまぁまぁ整ってる方やし。
何より女に対して外面がいい。
別に……俺かて、孝生と二人っきりの時は、優しいしてもろてるし。
好かれてる自覚もある。
けど……
その空間から一歩外に出た途端に、孝生は冷たくなる。
最初のコメントを投稿しよう!