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鳥は、いつか動物園でその姿を見たような気がするハシビロコウ程度の大きさがあった。
色は白と黒で丸っこい。
だが驚くべき事は、会話が成り立つ程度の知能と言語能力を有しているらしい点だった。
「……お前、人の言葉がわかるのか」
「わかります。……あなた、だれですか。ここで、見たことないです」
「俺は、刑事だよ。ある事件を追ってここへきた」
そう告げると、鳥は丸い目を細めた。
大きな羽根はだが、よく見れば根元に当たる場所に大きなプラスチックの留め具のようなものが食い込んでいた。
飛べないようにする為なのか、と大城は胸の内で思う。
「わたし、偽尾白(ニセオジロ)。もうずっとここに捕まっています」
「ずっと? じゃあ、ここの研究を何か知っているのか」
「ケンキュウ。ああ。てるおとひなが言っていた」
「輝夫、輝夫は爆死した、あの輝夫か。BBOプラス菌を持ち出したとかいう」
鳥はそれを聞いた瞬間に、ぶわり、と羽毛を膨らませた。
「……死んだのですか。てるお、は」
「ああ。ここの研究に関わった誰か……によってな。お前なら知ってるんじゃないのか、本当の黒幕を。事件の、全てを」
大城の言葉に、偽尾白が丸い目を床に向けた。
そうして、ゆっくりと言葉が紡がれる。
「はい。知っています……」
薄ぼんやりと、通りの明かりが遠くから差し込むだけの暗い空間だった。
鳥の言葉は、途切れ途切れに語った。
彼の知る、全てを。
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