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蒼樹の背後から突然飛び込んできたどすのきいた声。
そして、私たちのいる場所の影が濃くなる。
「何?遙。邪魔すんなよなぁ」
「邪魔もなにも、そいつはこの店の奴だろ。おいお前、酒がなくなった。追加持ってこい」
「は、はい」
もう飲んだのか?あの5本の酒瓶を……。
「チッ」
舌打ちして、蒼樹が離れて行く。
矢嶋はまた席に戻り、食事の続きをする。
なんでもいいけど、これは助かった、と言っていいのかな。
「瓶、いくつお持ちしますか?」
「4本」
4本も飲むのか……
「かしこまりました」
「それと」
「はい?」
「帰ってきたら、俺の酒の相手をしろ。22なら飲めるだろ」
「……はい。お相手、させて頂きます」
「早くいけ」
そう手で追い払われ、部屋を出て行く。
……助けてくれた?いやまさか。あの人さっきまで何の興味もなさそうに食事してたぞ。
でも、タイミングが良すぎる……。
いやいや、ちょっとうぬぼれすぎだな。
考えるのはよそう。
とりあえず、帰ってくるのが遅かったらどやされそうだ。
早く酒持っていかなきゃ。
そう考え、宗くんのいる場所へと急いだ。
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