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地獄だ。 「ねぇ、柚季ちゃん。君ってほんと美人だね。いくつ?」 「22です」 「へぇ、若い。俺たちなんか、もうあと2年で三十路なんだよねぇ」 最悪だ。 料理と酒が用意出来てからというもの、私に喋りかけるのはさっきから隣いるチャラ男で、目の前にいる男は一言も発しない。 黙って酒を飲んで、ごはんを食べている。 名前を聞けば、このチャラ男は蒼樹元晴といい、目の前の男は矢嶋遙というらしい。 「蒼樹さんは、ごはんを召し上がらないんですか?ここの料理、私がいうのもなんですが、とても美味しいですよ?」 「うーん。あまりお腹すいてないんだァ。そこにいる遙にいい女紹介しようとおもって連れてきたんだけど、アイツ花より団子みたいなやつだから」 紹介って、連れてくるところ間違えてるだろ。 もっとまともな女紹介してやれ。 「それにほら、君って吉原で有名だからさ」 「えっと、あの」 こいつ、扱いづらいな。 どうも丸め込まれてくれない。 コイツは団子より花か。 座る私の上に膝立ちで乗られ顎を掴まれる。 遙と呼ばれる彼は物怖じしないし、興味がなさそうに普通に酒を煽っている。 「あ、蒼樹さん?」 「ここってこういう事もできるよね?」 耳元でささやかれ、なめられる。 気持ち悪い。 「ちょっと怯えてる?」 いや、怯えてるというより、気持ち悪くて鳥肌が立ってる。 「フッ、震えちゃってかわいいなぁ」 心外だ……。
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