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布団に入ってから3分ほどして……
「起きてる?」
タクミから話しかけられた。
「寝てる」
「真面目な話、していいかな」
ボケはスルーなんですね。わかります。
タクミの口調から、シリアスな雰囲気を感じたので、カッコつけて、ああ……と返事をすると、タクミの話は始まった。
「俺は……セラのことが好きだ」
そして、いきなりのカミングアウト。
予想していた事だが、本人の口からこんなにも早く切り出されるとは思わなかった。
「初めて会ったのは、レデリスの町……
セラは町中で見かけた俺を、ユウヤだと勘違いして話しかけてきた。
その時は、なにも思わなかった。
次に会ったのも、レデリス。
今回は人違いじゃなく、俺を捜してたらしい。
それから俺はセラと話した。
異世界跳躍から、セラに出会うまでの事まで。
そして、俺はセラの部下になり、リンドヴルムに所属することになった。
時間が経過するにつれて、俺はいつしかセラに惹かれるようになっていた……
だけど、セラは俺にユウヤを重ね合わせて見ていた……無意識的に。
それほどまでにユウヤはセラにとって大きな存在だった。
叶わない恋心だと思って、諦めた。
でも、本当は諦め切れてなくて…………
葛藤してる中で、セラの話を聞いた。
セラは心を捨てて、王の道具になることを誓っていた。
けど、セラは心をユウヤとの思い出のせいで捨てきれてなくて……
それを訊いた………
返ってきたのは、予想通りの答えだった……
でも、それについてきたセラの想いは……とても重くて、とても大きくて………
壊れかけた恋心同士が共鳴して、いつの間にか……
俺はセラをこの腕に抱き締めていた。
そんなに辛いなら、俺に惚れろ。
俺を好きになれ。ユウヤの事なんか忘れろ……って、言いそうになった」
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