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セラは追撃を仕掛けて来る。
「ファイアクラッシュ!」
炎弾……しかも、当たった瞬間に爆発するタイプの魔法。
範囲的に避けられないし、防御すれば、それごとボカン……
だが、俺なら無傷で抜けられる。
陰の魔力で盾を形成し、ファイアクラッシュを防ぐ。
吸収した分の魔力を使って鎖を形成する。
捕縛するための鎖だ。
次は魔力で弾を20ほど形成し、それを放つ。
当たればグンと魔力を吸収する仕組みが施されている。
陰の魔力弾はほぼ全方向からセラを囲む。
セラがノーダメージで逃げるには、ひとつの方向しかないように限定してある。
罠だとわかっていても、確実に魔力を削られるか、可能性は薄いがノーダメージで切り抜けられるなら、後者を選ぶだろう。
セラもご多分に漏れず、後者の選択をした。
そこに待ち構えるは俺。
セラは躊躇う事なく、攻撃してきた。
魔法ではなく、肉体での攻撃。
魔法が吸収されてる事に気づいたか。
セラの拳が俺に迫る。
だが、好都合だ。
肉体が迫れば、それだけ捕縛も容易くなる。
セラの拳には、多少の魔力が込められていた。
威力を増すための仕掛けと、肉体だけの攻撃だと俺に錯覚させるための罠。
この罠にかかることはない。
まずは陰の魔力で盾を形成し、拳に込められた魔力を吸収する。
盾を通過してきた拳を、俺は左手で受け止めた。
義手であるのに、ビリビリと痺れる。
魔力を込めずとも、これだけの威力ってことか。
ヴァンパイア化してて、本当に良かったと思う。
生身で受けたら、一撃で悶絶すること間違いなしだろうな、この威力だと。
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