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次の日、遥はスペアの眼鏡をかけて登校した。
そして今、教室の真ん中付近の席に座り、担任が朝のHRを行っている。
新しい教科書や、これからの授業の進め方等、事務的な事を淡々と話す担任の説明に飽きてしまい、クラスメイトの観察をしていた。
遥が目立たないように、クラスメイトを見回すと、さすがは悪評名高い高校だ。
男子生徒は早速制服を着崩し、耳にはピアス。
髪も各々派手に染めており、不良という言葉がぴったり当てはまる。
女子生徒は、厚手のメイクに顔を包み、髪の色は勿論派手でありながら、パーマやヘアアイロンを当てて来たのか、クルクルしている。
まるでキャバクラにいるような気分になる。
遥と同じように地味な生徒も居るが、ざっと見た所2人だけだった。
こんな高校で、3年間やっていけるのか不安に思っていると、突然教室の前方のドアが開く。
開いたドアから、体格の良い、強面の男子生徒3人が、教室に入ってきた。
しかし、担任は注意する様子は無く、青ざめた顔で様子をうかがっている。
すると、3人のリーダー格であろう男子生徒が、口を開いた。
「新入生の皆さん。入学おめでとう」
開口一番に、まさかのお祝いの言葉を述べた男。
この教室に居る生徒達は、恐怖に包まれていたが、男のお祝いの言葉で、少し安心していた。
しかし、当然ただ祝いに来ただけではない。
生徒達は、男の次の言葉で再び恐怖に陥る。
「俺ら3年なんだけどさぁ。今日の昼飯代が無いんだよねぇ。誰か貸してくれないかなぁ」
実に堂々としたかつあげである。
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