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目の前の男は、遥が大人しく言う事を聞きそうなので、満足そうに許可を出す。
遥は重い足取りでロッカーに向かって歩き出した。
不味い!
遥はこの局面を打開する策を必死で考える。
しかし頭に浮かぶのは、昨日夢中で考えていた小説の、刑事が人質を取って立てこもるシーンの事ばかりだ。
人質……
ここで遥は何かを思いつく。
ロッカーまでたどり着くと、鞄から財布を取り出すフリをし、バレないように携帯を取り出した。
そして110を押す。
携帯を耳にあてながら、遥は振り返った。
「動かないで。少しでも動けば警察を呼ぶから」
これが遥が思いついた打開策である。
遥の言葉に、かつあげ犯である男達は押し黙る。
遥の携帯を持つ手が震える。
その影響か、携帯のどこかを触ってしまい、スピーカーフォンになってしまっていた。
プルルルル
電話の呼び出し音が教室中に響き渡る。
実際に電話をかける気など無かった遥は、内心焦っていた。
カチャ
そして電話が繋がる音がする。
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