11人が本棚に入れています
本棚に追加
『こちら警察です。どうされました?』
携帯のスピーカーから、男性の声がした。
かつあげ犯達は、まさか本当に警察にかけるとは思っていなかったのか、冷や汗を流し始める。
それは遥かも同じであった。
『もしもし。どうされましたか?』
携帯からは同じ言葉が繰り返される。
ここで電話を切ってしまえば、一気に距離を詰められ、携帯を奪われるだろう。
かと言って、ここで通報してしまえば、大事になり、これからの学校生活に影響が出てしまう。
この男達からも仕返しされる。
そう考えると、遥は無言を貫き通すしかなかった。
『もしもーし。イタズラですか?この番号は記録しておきますから。もう一度同じ事をしたら、自宅まで注意しに行きますので』
ガチャ。プー、プー、プー。
その言葉を最後に電話は切られてしまった。
「なめた真似してくれたなー。このガキ」
かつあげ犯である男は、遥の席から歩きだし、徐々に迫ってくる。
「いやだなぁ。じょ、冗談じゃないですか……」
さすがにこんな弁明じゃ、許して貰えないと分かっていたが、他に言葉が浮かばない。
男は、ゆっくりと不敵な笑みを浮かべながら、後1メートルという所まで距離を詰めてきた。
遥は覚悟を決めて、目を閉じる。
ガラガラ
最初のコメントを投稿しよう!